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マックス模型(日本)ノンスケール 1940年型フォードGP “ブリッツバギー”(1973年 初版) [ノンジャンルアイテム]

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MAX Free Scale FORD GP 1940 “Blitz Buggy”

MAX(マックス模型)は1970年代前半に精密で多彩な軍用車輌のキットを発売して好事家を喜ばせたメーカーです。
このブログでもその一端をご紹介しているので、原体験の無い若い皆さんにもこのメーカーの製品内容をご理解頂けるのではないかと思います。

ホワイトM3A1スカウトカー(偵察装甲車)
http://vintageplamo.blog.so-net.ne.jp/2010-04-12-4

ダッジ3/4トンWC56/57 コマンドカー
http://vintageplamo.blog.so-net.ne.jp/2010-04-12-3 

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1970年代前半といえばタミヤが世界に誇るMM(ミリタリーミニチュア)シリーズが驚くべき充実を見せて「ミリタリーモデルは第二次大戦中のドイツ軍アイテムを1/35で作るのがイチバン!」といったトレンドが確立されてきた時期でした。
そんな風潮の中マックスは、まずタミヤと競合しないアイテムで、なおかつ世界的に有名でありながらも当時まだ模型化されていなかった車輌たちを意欲的に発売していきました。

今ではその独自のセンスや先進性が誤解されて、
「マックスのキットはマニアック過ぎてまったく売れず倒産した」
……とか、
「車輌マニアが監修に入ったため、一般受けする売れ筋商品が開発できずに倒産した」
……といった話がまるで都市伝説のように(笑)語られることがありますが……実際は、そうではありません。

元々マックスという会社は極少人数で立ち上げた超零細企業であり、当時としてはハイクォリティ・ハイセンスな製品を開発してはいたものの慢性的に資金も人手も足りず、またマックスの製品に警戒感を抱いた大手メーカーが大攻勢に出たため、そういったメーカーの同系統キットや人気のドイツ軍アイテムに比べれば思ったほど売り上げが伸びなかったし、それならば……と、金型を他社に売却して店終いしたというのが真相のようです。

何しろマックスの製品はその後トミーに受け継がれ、海外のピアレス、続いてエアフィックスやイタレリ(提携先のテスターも含む)に移り、21世紀に入った現在でも現役の精密キットとして販売され続けています。

本当に「まったく売れない製品」だったら、こんなことにはなりませんよネ!(笑)


―――― 少年時代から親しみ、その精密さや組み立ての“手強さ”から一目置いていたマックス製品でしたが、よく行く模型店のショーウィンドゥに飾られていていつも気になっていたのが、この“ブリッツバギー”でした。

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アメリカでは1960年代よりサブカルチャー百花繚乱の時代に入り、レベルやモノグラムが独創的なセンスを持ったデザイナーに依頼してユニークなディフォルメキット(実在する航空機や車輌をモチーフにして、模型としての精密感を損なうことなく、コミカルなディフォルメを施したモデル)を発売していましたが、ブリッツバギーの完成品はそれらのオモシロ可笑しい複葉機やホット・ロッドカーと並んでチョコンと置かれていました。

その楽しげな雰囲気に魅せられてしまい、お店に行くたびにショーウィンドゥを覗き込んでいたものですが……まったく残念なことに、各社に受け継がれて長寿を誇ったマックス製品の中で、このブリッツバギーはもっとも短命に終わり、後になって手に入れることが大変困難になってしまったキットでした。

一時期、オオタキがこのキットに附属していたアクセサリー、ジオラマベースとフィギュアを省略して、車体だけを「1/40スケール フォードGP」として発売したことがありましたが、このキット本来の楽しさは失われてしまった内容で、またこの後に金型が破損してしまい、再販が不可能になった……という噂を聞いたこともあります。
これはあくまでウワサですから実際の処はわかりませんが……今のところ、もう何処からも再販される見込みのない幻のキットになってしまったことは確かなようです。


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※フォードGPの実車記録写真




―――― さて、マックスが「カートゥーンシリーズ」として発売したフォードGP “ブリッツバギー”とは……おっとっと、僕がエラソウにウンチクを書くより、ここは“ガミガミ軍曹”と“マックス一等兵”に説明してもらいましょう!

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どうです、楽しいでしょ!(^^)


このキットのデザイン・監修を担当されたのは、戦後の日本アニメーション黎明期から第一線で活躍して数々の名作を手がけた、まさに日本アニメの育ての親である作画監督、大塚 康生さんです。

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僕らは心からの尊敬と親しみを込めて大塚先生と呼ばせていただいていますが、ミリタリーモデル愛好家の方ならば、大塚先生が世界的に有名なジープを筆頭とする軍用車輌の研究者であることはご存じでしょう。
大塚先生のお宅に遊びにうかがうと、ジープや模型のお話が尽きず、ついつい長居をしてしまいます。


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大塚先生のお話をうかがっていると、マックスのブリッツバギーのキットには、大塚先生のお人柄がそのまま出ているなぁ!と感じます。
実車についての知識と愛情、そしてプラモデルというものの楽しさを多くの人々に知ってもらいたいという気持ち……ガミガミ軍曹とマックス一等兵は組み立て説明書の全編に現れて、このキットを今まさに作っているユーザーを助けてくれますが、こんなコーディネイトも大塚先生ならではのセンスでしょう。

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このブリッツバギーは、実車の全長をキュッ!と縮めて、やや大きく幅広のタイヤを履かせたディフォルメ・モデルですが……細部をつぶさに観察すると、その驚くべき“こだわり”が見えてきます。


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シャシーは左右分割のもので、その間にデフを挟むようにして接着。
その上にエンジンとトランスファーケースを載せるという、まるで実車の製造工程を思わせる部品分割となっていて、メカニックの楽しさを堪能できるようになっています。
もちろん組み立て説明書は丁寧なので、工作で迷う部分はありません。


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タイヤには“DUNLOP”の銘柄が!
当時、精密キットを謳い文句にしている製品でも、ここまでやっているキットは少なかったと思います。


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そして、繊細なラジエーターグリル。
当時の金型技術としては限界ではないかと思える細さで、実車の華奢なイメージをよく伝えています。


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楽しいアクセサリー類。
フォードGPの登場時期に合わせて、ちゃんと初期型になっている1/4トン カーゴトレーラと、それに積むジェリカン、シュラフ……。


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もちろん、ガミガミ軍曹とマックス一等兵のフィギュアも入っていて、パッケージイラストと同じポーズで仕上げることができます。


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ひときわ大きい長方形の部品は、ジオラマベース。
完成したフォードGPをスタンド部品で浮かせることにより、車体をピョン!と浮かせながら悪路を疾走するパッケージイラストの雰囲気をそのまま再現できる、嬉しいオマケです。


―――― よく言われるように、このキットの登場は、たしかに「早すぎた」のかも知れません。
先に書いたように、アメリカでは1960年代からこのように実在のメカをディフォルメしたキットが数多く発売され、それを楽しむ地盤も形成されていましたが、1970年代前半の日本ではまだまだそんな余裕が無い……当時の日本のモデラーは、ようやく世界に誇れる精密感を再現できるようになった各種国産キットのクォリティの虜となって「とにかくボルト一本の大きさに至るまで実物を忠実に再現してほしい」と、精密感と正確さの追求に躍起になっていて、このフォードGPのようなコミカルなキットを自分なりの工作、自分なりの塗装でユッタリ楽しむような気持ちの余裕を持てるモデラーは、本当に、驚くほど本当に少数派だったのです。

こういったディフォルメキットが日本に定着するのは、1980年代にハセガワが発売した「たまごヒコーキ」シリーズの登場まで待たねばならないように思います。


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マックスのキットには、時折 次回発売製品の広告を兼ねたリーフレットが同梱されおり、裏面にはエンドユーザーからマックスに寄せられた“ファンレター”の一部が紹介されていました。
また、このブリッツバギーの製品化についての解説や、発売予定キットのイメージ画とも思えるイラストが添えられていることもありました。
これはそのひとつで、第二次大戦中にイギリス軍が北アフリカ戦線で運用したM3グラント中戦車と、いかにもイギリス人といった風情の戦車兵がコミカルに描かれています。
車体側面のハッチに、当時驚異的な破壊力を持つとして恐れられていたドイツ軍の「88ミリ砲」の砲弾がめり込んでいるのがご愛敬です。
この他にも、ドイツ軍の有名な急降下爆撃機“スツーカ”を描いた楽しいイラストもありました。
恐らくほとんどのものは大塚康生先生がお描きになったものでしょう。
もしかしたら大塚先生の後輩に当たる宮崎駿監督がお描きになったものも混じっていたかも知れません。

これらのイラストが、そのままのテイストでキット化されたら、どんなに楽しかったことでしょう。
21世紀の今だったら、ちょっとしたブームになっていたかも知れません。

しかし、残念ながらそれらのキットが発売されることはなく、マックスの「カートゥーンシリーズ」はこのフォードGPブリッツバギー単品で終わってしまいました。
やはり、当時としてはセンスが先進的すぎたのでしょう。
本当に残念です。



―――― 大塚康生先生のプラモデルへの愛情、そしてセンスを世に知らしめる製品も、このフォードGPの絶版で途絶えたかに思えましたが……意外なフィールドで再び開花し、長きにわたって注目を浴びることになります。

1985年。
タミヤのミニ四駆「ワイルドウィリスJr.」の登場です。

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大塚先生がウィリスMC(M38)ジープを元にデザインしたものです。

このキットはよく観察すると、マックスのフォードGPと同じ“薫り”を感じて楽しむ事が出来ます。
スケール表示は他のミニ四駆製品と合わせて1/32となっていますが、計測してみると、車体の全長を1/32クラスに縮めてあるだけで、車幅も、車高も、そして主要部品や各部のディテール(彫刻再現)も正確な1/24スケールにまとめられていて、その精度はスケールモデルとしての鑑賞に耐えるほどです!

子供向けだからと言って手を抜かない。
メカの楽しさ、本物の魅力はキッチリ伝える。
過度な部品分割はせず、誰もが手軽に楽しく作ることができる……。

「ワイルドウィリスJr.」は、マックスのフォードGPの正統な後継者といってもよいでしょう。



2013年、大塚康生 先生はタスカから発売される1/24スケールの「バンタムBRC」に全面協力されています。
ジープの始祖として歴史に名を残す名車バンタムBRCを1/24で再現するという、世界初のプロジェクトです。

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精密感を保ちながら、出来る限り作りやすく、親しみやすいキット内容に……と、大塚先生はキット設計スタッフの皆さんに注文を出されたそうです。


あまりにも細かい部品分割、作りやすさを犠牲にした精密感の追求……そういったトレンドがエスカレートしつつあるように感じる今、プラモデルの本来の楽しさって何だろう?

マックスのフォードGPの部品を眺めていると、そんなことを考えてしまいます。

(注:2013年5月の静岡ホビーショーで「有限会社タスカモデリズモ」は「アスカモデル」と社名変更することが発表されました)










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バンダイ (日本) 1/24 ウィリスジープ (1970年) [AFVモデル]

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※旧 今井科学 1968年製
BANDAI 1/24 WILLYS JEEP (1970) ※ORIGINAL IMAI KAGAKU 1968 Release.

第二次大戦中に登場して全戦線で勇名を馳せたウィリスMBジープの1/24モーターライズキットです。

元々は今井科学が1960年代末に発売したものですが、ほどなくバンタイが販売元となりしばらく店頭で見かけたので、このバンダイ版に見覚えのある方のほうが多いかも知れません。

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箱絵は「空挺作戦前夜」といったところでしょうか。
空挺隊員と彼らを運ぶ輸送機のパイロットがジープの傍らで打ち合わせ中の様子が描かれています。

これは小松崎 茂 画伯の手によるもので、今井科学から発売されていたときはジープと人物のみが切り抜かれたレイアウトになっていましたが、バンダイ版ではモノクロのM60中戦車と155ミリカノン砲が背景に合成されました。
M60も155ミリ砲も今井科学が1/24スケールで発売していたので、その関係もあったのではないでしょうか。


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キット内容は当時としては標準的なもので、ランナー配置を見てもそのまとまりの良さがうかがえます。

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1/24でモーターライズ走行させるため、モーターは車内に、そして電池ボックスはジープの相棒として有名な1/4トンカーゴトレーラに載せて、ジープ本体のプロポーションが電池ボックスによって著しく損なわれるのを防いでいます。
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カーゴトレーラ上の電池ボックスは大型の弾薬箱のような箱で覆い、カモフラージュされます。
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また、弾薬箱だけでは寂しいと感じたのでしょうか、畳んだテントとバッグがアクセサリーとして含まれているのが微笑ましく感じられます。
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そのうえ、このカーゴトレーラは配線でジープ本体とつながるにも関わらず、取り外し可能なように設計されています。
また、カーゴトレーラは単体で自立するように、スタンドがスプリングを使って折り畳み可動になっているのも気が効いています。
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走行のためのギヤはちゃんとデフの中に収められ、ドライブシャフトを介して後輪を駆動させます。
前輪はステアリングが効くようになっているので、残念ながら実車と同じ四輪駆動のギミックは無理だったようですが、このキットの原体験を持つ方々にお話をうかがうと、予想していたよりも走行性能は良かったようです。
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作るとなかなか楽しいキットに思えますが……待てよ、このキット、本当に1/24スケールなんだろうか?

昔のキットは箱に書かれたスケール表示と実際のスケールが違うことが多々あります。
簡単に検証してみることにしましょう。



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ハセガワの1/24スケール「ジープ ウィリスMB」。
2003年に発売された、現時点では最も新しい1/24スケールのウィリスジープのモデルです。
近年のプラモデルは目の肥えたマニアのニーズに応えて基本的な寸法等はできるだけ正確に再現されているので、ハセガワのジープの内容を信用して比較してみました。


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ハセガワのジープはタミヤ1/35(MMシリーズ新設計版)と同じくボディの主要部品とフロントグリルが一体成形となっているので、比較対象としてはもってこいです。
左上のシャシーフレーム部品とランナーでつながっているのがバンダイ(旧 今井科学)1/24。
右下がハセガワ1/24。

……基本的な寸法はほとんど同じで、不自然なほど寸法や角度が違う部分は見あたりません。


自動車の模型ではそのイメージを左右する重要な要素であるタイヤも比較してみました。

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左の中央にランナーが付いているのがハセガワ1/24。
右がバンダイ(旧 今井科学)1/24。
直径も幅も厚みも、驚くほど合致しています。

これを見る限り、今井科学は1960年代末という時期に相当マジメにジープを1/24で模型化したことがわかります。


ただ、残念なのは……「顔」です。

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ジープ好きの人間がいちばん気にするポイントのひとつが、顔……フロントグリルの出来映えです。
今井科学のジープは、同時期の各国産メーカー品によく見られるように、ジープのフロントグリルの特徴をつかみ取れず、ずいぶんとコミカルな顔立ちになってしまいました。
恐らく、大戦型のウィリスMBと戦後に登場したウィリスMC・M38の特徴が混ざってしまったのでしょう。

ここが実車に似ていたならば、かなり高い支持を得ることの出来るキットになったのではないでしょうか。
実は車体各部にもウィリスMBとM38の特徴が混在しています。


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(第二次大戦型・ウィリスMBジープ)


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(戦後に登場したウィリスMCジープ・M38)




……とは言え、ジープの型式・年式による細部の違いを詳しく解説した資料はなかなか手に入らなかった時代の製品ですし、この当時はゼンマイ動力で走る1/24ジープのキットはあっても、モーターライズの1/24キットは珍しい部類に入りました。
これだけでも今井科学の意気込みが伝わってきます。


現在では超精密なディスプレイキットが主流となり、モーターライズで走行するスケールモデルは極少数派になってしまいましたが……オトナの手のひらに乗るサイズのウィリスジープがテーブルの上をすぃーっと走る光景を想像すると……なんだかワクワクしませんか?


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ハセガワ1/24ジープの細部部品を流用したりモールドを移植して仕上げれば「実車のようなスタイルのウィリスジープがモーターライズで走る」様子を楽しめる……そんなディテールアップをしてみるか??

それとも「昔はこんな面白いキットがあったんだなァ」と往時を偲んで完全にキットの内容そのままで作って楽しむか??

うぅむ……とても悩ましいキットです(笑)












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NBK(日本) 宇宙戦車エレクター5 (1967年) [SF・キャラクターモデル]

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NBK SPACE RR TANK ERECTOR-5

もはや日本の“伝統芸能”と言っても過言ではない模型メーカー・オリジナルデザインのSF系マシン模型華やかなりし1960年代、NBKが放った独創的な「宇宙空間で運用される特殊戦車」がエレクター5です。

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……僕自身はこのキットについての原体験はまったくありません。
存在すら知りませんでした。

2008年になって「黄金模型店」さんがクラシカルなプラモデルを紹介する豪華本を出版されることとなり、そのスピンオフ企画として様々な懐かしいキットをカタログ的に紹介するDVDの製作を依頼され、全体の構成、撮影、演出と特撮監督を務めさせていただきましたが、その撮影現場に協力してくださるプラモ・エンスージャストの方が持ち込んだ作品の中に、このエレクター5があり、初めてその全貌を知ることができました。

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子供の頃の思い出に残っているオモチャに通称「アクロバット戦車」というのがありました。
車体全周を囲むキャタピラによって、垂直面をよじ登る挙動を見せ、ひっくり返ると方向転換してまた走り出す……というものでした。
エレクター5は、このアクロバット戦車をよりSF的にアレンジして、また独創的なギミックを加えて魅力を倍増させた未来の車輌の模型という趣に仕上がっていました。

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正直なところ、箱絵を見る限りではさほど格好良いものとは思えなかったのですが、簡単なミニチュアセットの上で特撮イメージ映像を撮影したり、またその独特の動きを見せる映像を撮影しているうちに、野暮ったさの中にも「建機や農機に通じる特殊な機械としての魅力」を感じはじめ、いつかは自分も手に入れてみたいと思うようになっていました。
動きも面白く、見飽きない楽しさがありました。

DVDの映像から、その動きを追ってみましょう。
障害物にぶつかると、それをよじ登り、クルッとひっくり返ったにも関わらず運転席はきちんと前を向いており、何事も無かったかのように逆方向へ疾走していきます。

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最近になって、幸運なことにオークションに出品されていた物を入手できたので、ご紹介したいと思います。


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箱絵には、謎の惑星で活動中のエレクター5がダイナミックに描かれていますが、その絵柄を邪魔しないように、さりげなくも長い英文が書かれています。

JAPANESE SPACE TANK NOW ON ITS DUTY
According to the lastest report from the I.M.C(The Moon Inter Communication Base)Japan has sent a new space tank caiied “ERECTOR-5”to the α planet near the Mars.
It is said that the tank has a faculty of crawing over the rocky hills and valleys by its flexible trucks One of the most characteristic features of this type of tank is its turn-around mechanism which can change its course by turning the hull upside down on the vertical plane. A gloop of the Japanese expedition crew is now wading forward along the craters and making a great effort to search for both astronomic aspects and biological phenomena.(原文ママ)


英語の苦手な僕にはなかなか手強い文面でしたが、だいたいの感じを掴むとすれば……


現在、任務遂行中の日本のスペースタンク
I.M.C(月面コミュニケイション基地)からの最新のレポートによると、日本は「エレクター(建設者)-5」と呼ばれる新しいスペースタンクを火星の近くのα惑星に送り込みました。
タンクには岩盤を調査する科学者陣が乗り込み、またこのタイプのタンクの最も大きな特色のフレキシブルな無限軌道は、垂直面で車体をひっくり返すことによって転進できるターンアラウンドメカニズムです。
日本人の遠征クルーは今、クレーターに沿って前進し、天文学と生物学的現象を調査するため精力的に活動しています。


……といった感じでしょうか。

エレクター5の活躍を、ジャーナリストが報告したような文面になっており、興味をそそります。
これほど長い英文を箱絵にあしらったということは、もしかすると輸出もかなり前向きに考えていた製品なのかも知れませんネ。

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これと同時に組み立て説明書には日本語による「実車解説」と内部構造の説明図解が掲載されています。


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キャビン部分は、敢えて先鋭的なデザインにはせず、第二次大戦中にドイツ軍が使用した軽トラクタ“RSO”はたまた日本国内でもよく目にした古いタイプの小型トラックのような、比較的大人しいデザインにまとめられており、このあたりがナントモ独特のリアリティを醸し出しているように思います。



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このキャビン内には2名のクルーが乗るようになっていますが、大きさからしてだいたい1/32スケール程度ということでしょうか。
このキャビン自体、車体が障害物にぶつかって上下反転するとクルッと回ってクルーが逆さまになるのを防ぎ、車体が上下逆になっても通常通りに操縦できるという趣向になっています。



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車体部品をつぶさに観察すると、深海潜水艇のような丈夫そうなハッチや、昔の軍用車によく見られた装備のパイオニア・トゥール・ラック(工具収納架)のモールドが確認出来ます。
突拍子もないフォルムを持つこの車体に、少しでも説得力を持たせようという配慮でしょうか。こういった、ちょっと気の効いたモールドを眺めていると楽しい気分になってきます。


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デカールはさすがに経年変化で黄変しており、使えるかどうか難しいところですが、キャビン部分の風防を再現する透明部品や、車体各部を彩るメッキ部品はキズもなく輝きを失っておらず、これはぜひ美しさを生かして作ってみたいと思わせてくれます。


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キャタピラはこのころのプラモデルではお馴染みのゴム製。
表面のパターンにはまるで昔のドイツ軍戦車のようなゴツさが再現されています。
各種ホィール類のデザインはなかなかメカニカルで、SF映画に登場するマシンのような魅力があります。


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駆動系の部品と組み立て図。
そうとう、込み入っております!
モーターライズ機構に加えて懐かしい小型電球(ムギ球)による電飾も標準装備。
ミサイルも発射できます。

これは……当時の子供たちはちゃんと完成させることができたかなぁ!?

図そのものも細かく、やや老眼の気配が忍び寄ってきた僕の視力では解読がナカナカ難しく、実際に作る場合はルーペで図面を確認しながらの作業を強いられそうですが、慎重に組み立てないとミスを犯しそうな予感がします。



―――― このようなオリジナルSFタンクのプラモデルは、日本にどれだけ存在していたのでしょうか?

まだまだ魅力的なものがいっぱいあるようで、これからボチボチと見つけて、実際に作ってみるのが本当に楽しみです。

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日本ホビー(日本)1/35 陸上自衛隊 61式戦車 (1966年) [AFVモデル]

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NIPPON HOBBY KK 1/35  J.G.S.D.F Type61 Medium Tank

戦後初の日本国産戦車として1960年代後半にプラモデルメーカー各社から多種多様なキットが発売されて子供たちに親しまれた車体です。


日本ホビーは現物取材による正確・精巧な模型化を謳い文句にした1/20前後のラージモデルと1/35前後のミドルクラスモデルの二本柱で各種戦車キットを販売していたようです。
1965年生まれの僕は日本ホビー製品の原体験は少なく、幼少時に何かのお土産で同社のカーモデルを買ってもらったのをオボロゲに覚えている程度でした。 確かフォード・ムスタングか何かだったように思います。 当然1/35の61式戦車といえばタミヤ製品にお世話になったクチです。 しかし、タミヤとは違うメーカーが1/35でプラモファンにはお馴染みの61式を発売していたことを25年ほど前に知ってからは興味津々で、いつかは作ってみたいと思っていました。


今回ご紹介するのは、同社「パノラマボックスシリーズ」の1/35 61式戦車です。


……この「日本ホビー」というメーカー名。
古いプラモデルに興味をお持ちの方なら一度は聞いたことのある名前だと思いますが、こういったものはリアルタイムで原体験があるなどの“経験値”が無いと、なかなかその全貌は掴めないものです。
これは他の老舗メーカーにも言えることですが、本格的な戦車キットをはじめとして様々なアイテムをリリースしていた日本ホビーに関しては、是非とも詳しいことが知りたいと常々思っておりました。

そこに、まさに救世主が現れました。
少年時代から日本ホビーのキットに親しみ、現在でもキットそして日本ホビーという企業そのものの研究を続けておられる、森本康生さんです。

森本さんはご自身の研究成果をウェブサイトにも公開しておられます。
その名もズバリ「日本ホビーKK研究室」です!
非常に濃密な情報が豊富に掲載されているサイトです。森本さんの熱意が伝わってきます。
是非、皆さんもご覧になってください。

「日本ホビーKK研究室」
http://www.mecha-land.com/Hobby/hobby.html

……さて、この1/35スケール「61式戦車」のコンテンツに関して、森本さんからご連絡を頂き、大変詳しい情報をご提供頂いたうえに、僕が先にアップロードした文面中の誤り等を懇切丁寧に解説して頂きました。
日本ホビーの戦車キットに興味のある方は必見の情報です。

以下、森本さんから頂いた情報をまとめて掲載させて頂きます。


―――― 日本ホビーは、タミヤなどのように大きな会社になることはなく、まったくの個人経営の中小企業で、ロットごとにパッケージや内容を変更しては、同じ戦車を製品化していました。
その順番は……
①パノラマボックスシリーズ 
②日本戦車シリーズ
③アクションタンクシリーズ+チャンピオンシリーズ 

私も当時子供でしたから、詳しくは知るすべもないのですが、この順番だけは、リアルタイムでプラモデルに親しんできた事実から間違いありません。
「パノラマボックスシリーズ」は「マンモス戦車シリーズ」と同時期に、主に自衛隊の戦車をシリーズ化したものでした。
「パノラマボックスシリーズ」の箱は、ミシン目からボックスアート部分をくりぬき、そこに付属の透明のフィルムを貼り、同時にくりぬいた絵を箱の中に背景として貼りつけると、箱が展示用のボックスになることから、そう命名されました。

そのラインナップは……

61式戦車 1/35
60式装甲車 1/30
60式無反動ロケット砲 1/20
M41 1/35 (注:「パノラマボックスシリーズ」に存在したかどうか不明 見たことがありません)
M24 1/31
スターリン 1/36
九七式チハ 1/33(注:「パノラマボックスシリーズ」に存在したかどうか不明 見たことがありません)
九七式改 1/33

……というものでした。

「パノラマボックスシリーズ」では「マンモス戦車シリーズ」と同じ思想である、実物に忠実であることを売りにしていました。
キャタピラが金属色ポリ製で、ギアボックスが金属で完成しているところも自慢していました。(確かに、当時はバラバラのギアを組み立てる方式のキットが多くありました。その点、組み立て済みで確実に動くことが、私が日本ホビーが好きになった理由でもありました。35モーターで強力でしたし)。
でも、子供ながらに不満だったのは、シャーシが共通で、転輪数が6個のものと5個のものの2種類を使いまわしていることでした。
これは「マンモス戦車シリーズ」でも同じことで“実物に忠実である”という点から、ちょっとはずれた部分でした。
その後、業者向けのパンフレットに「お客の心をとらえるには、ただ動くだけではだめです」という宣伝文句で、「アクションタンクシリーズ」に方向転換していったのです。
同時期に、タミヤは戦車博物館の取材をもとに、よりスケール度の高まった、しかも世界の戦車を製品化していき、日本ホビーは競争に負けることになってしまいました……。


―――― 以上です。

原体験をお持ちで、そして日本ホビー製品を見つめ続けてきた森本さんならではの情報そして視点で、当時の空気までが感じられるようです。
ときおり日本ホビーの戦車モデルを見かけると、様々なバージョンの箱があって、どれが先に発売されたものか困惑することがありますが、森本さんの解説により、その謎が氷解しました。

森本さん、ありがとうございました!


それでは、キット内容を見てみましょう。


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森本さんの解説でお解り頂けたかと思いますが、このシリーズのチャームポイントは「パノラマボックス」と銘打ったパッケージで、完成後はこの箱の一部を切り取り線に沿って穴を開け、展示ケースとして使えるようになっていました。

ちょっとパノラマボックスに注目してみましょう。

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背面には「61式戦車 図解説明」が印刷されています。
図柄は量産型の一般的な61式ではなく、試作型のSTA-4が描かれているのが興味深いです。
懐かしい東宝の特撮怪獣映画でお馴染みの車体ですネ。


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底面に印刷された同社の製品ラインナップ。
実車写真をトレースした精密イラスト風の紹介図ですが「スターリン3型」だけはあまり鮮明でない海外の書籍の写真を下絵に使ったためか、他の自衛隊車両よりも幾分ラフなタッチになっているのがなんとなく微笑ましく感じられます。


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思ったよりシンプルなキット内容。
現在の目で見ると多少実車と構造や形状の異なる部分も見受けられますが、それでも図面と実車取材による写真から推察される形状を許容範囲内のコストで立体造形物として再現すればこうなるであろうという、かなり説得力のある形をしており、発売時期を考えれば確かに精巧な高級キットだったであろうと思います。

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試作型を思わせる、ややロングホィールベースに見える車体。半球型に突出したコマンダーズキューポラ、箱型に簡略化されたライトガード、ゴッツイ足回り。
どのメーカーのこれ!……とは言えませんが、61式戦車を題材としたやや小型サイズの古いプラモデルでは、こういうスタイルの物が多かったように思います。
そんなことを考えつつ部品を眺めると、日本ホビー製品が他社に与えた影響の大きさが実感できます。

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砲塔内部にコードを引き入れて、砲塔床板部分に取り付けられた接点によって通電し、砲塔を回すことによってモーターライズ走行のオン・オフができるようになっています。
単純なオン・オフスィッチにしないあたりが、ギミックにこだわる日本ホビーらしさでしょうか。


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ちょっとイタズラ心でタミヤ1/35(旧モーターライズ版)の主要部品と比較してみました。
左奥の暗いプラ成形色がタミヤ製です。
大きさはほぼ同じ。1/35クラスとして堅実に模型化されていることが解ります。
細部表現の違いに発売年度の差……技術的な進歩やモデラーの嗜好に合わせたセンスの差が見て取れますが、立体造形物として鑑賞した場合、どちらも捨てがたい魅力があると感じるのは僕だけでしょうか。




―――― キットに同梱されていたチラシです。

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当時としてはかなり熱心な商品展開を行っていたようで、同社約1/20スケールの各種戦車モデルに使えるように別売の連結組み立て式キャタピラまで製品化されていました。

皆さんご存じのようにキャタピラの形状というのは車種によって違います。
それに構わずこの1種類のキャタピラで押し切ってしまうというのは少々強引な気がしないでもありませんが、それは現在の感覚で見てしまうからで、いささかリアリティに欠けるゴム製キャタピラが一般的だった当時の戦車モデル・シーンにあって、まるで実物のようにプラ製本体にゴム製パッドを貼り付けていき、一枚ずつ連結させていくキャタピラというのは、実車と比べて多少の形状の違いはあっても、それを差し引いて余りあるリアリティを感じさせてくれる「高級ディテールアップ用部品」だったことと思います。


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また組み立て説明書にも「地上最大の戦車模型」と銘打った約1/20スケールの「マンモス戦車シリーズ」と、八千円あれば(それでも当時としては超高額!)それらのキットをラジコン化出来るセット「ホビーコーン」の紹介が掲載されています。


―――― 日本ホビー1/35の61式は今回ご紹介した未組み立て品とは別に所謂「完成品のジャンク」を入手していたので、今回はそれを修復して在りし日の姿を再現してみました。

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組み立て説明書を頼りに破損箇所を確認し、紛失していたホィールの一部はお友達の「T2F」さんのご協力で型取り・複製をしていただきました。
基本的にはキットをストレート組みするとこんな姿になる……というのを再現しようとしましたが、細かい部品の欠損部分の補修によってほんの少しオリジナルと異なる部分もあります。
またキットでは砲口も開いていないので、ここだけはオリジナルと違ってしまうのを承知で雰囲気アップのために開口しました。
当時の模型マニアにも戦車のポイントである砲身の開口はドリルなどを使って行う方も多かっただろうという判断です。
もちろん付属デカールはありませんので、日の丸はデカール自作、その他のマーキングはクラシカルな雰囲気に仕上げるため手描きで表現してみました。
本来は砲塔を回すことによってスイッチがオン・オフされてモーターライズ走行しますが、経年変化でスィッチ部分と電池ボックス部分が錆びてボロボロだったため、市販品のスイッチと電池ボックスを車内に収めました。
でもギヤボックスとモーターは当時そのままのものです。
スィッチを入れると、まるで大地を踏みしめるようなユッタリとしたスピードで、ガガガガ!と大音響のギヤノイズを響かせて力強く走ります。

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こうしてみると後発のタミヤ1/35とはまた違った作風で独特のシルエットを持っていますが、非常に存在感が豊かなモデルのように思います。


―――― 余談ながら、日本ホビーの61式戦車つながりでの話題をひとつ。

1964年公開の東宝特撮映画『モスラ対ゴジラ』のヒトコマ。

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ゴジラ撃退作戦中、ゴジラの放つ放射能火炎で炎上する61式戦車です。

この当時、東宝には1954年公開『ゴジラ』のときに準備された1/10~1/12程度と思われるスケールのM24チャフィ戦車のミニチュアモデルのストックがあり、『モスラ対ゴジラ』にはこのM24の車台にアイハラ製1/15スケール金属モデル61式戦車(STA-4)の車体と砲塔を載せた撮影用モデルが登場しますが、この画面に映っているものは明らかにそれとは別の市販のプラモデルのように見えます。

これは何だろう? と検証していたところ、ウェブサイト「プラモデルの王国」の高見氏より「形状から見て恐らく日本ホビーの1/20だろう」という情報をいただきました。
日本ホビー1/20の61式戦車は1964年の発売とのことで、撮影当時パリパリの新製品だったことがわかります。

こういった戦車プラモは他の特撮映画でもよく活躍しています。
そんなところに注意しながらあらためて特撮映画のDVDを観てみるのも、マニアの密かなる楽しみですネ!
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モノグラム(アメリカ)1/48 ダグラスSBDドーントレス急降下爆撃機 (1960年初版) [航空機モデル]

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MONOGRAM 1/48 Douglas SBD Dauntless Dive bomber

※トップ画像は1970年代の「バンダイ・モノグラム」版です。

大型爆弾を抱え、敵艦を求めて海上を飛び「二度目はない」やり直しのきかぬダイブを敢行する……「急降下爆撃機(ダイブボマー)」は、第二次大戦を最後に消滅した、今となっては特異な機種です。
ドーントレスは第二次大戦初期、強大な日本海軍に劣勢を強いられていた米海軍にあってパイロットたちの不屈の闘志に支えられて奮戦。後には「ミッドウェー海戦」において、まるで奇跡のように乱戦の中のわずかな間隙を突いて日本海軍の誇る機動部隊を真上から急襲。その主力空母を撃沈して米軍反攻の口火を切ったと言う話はあまりにも有名です。

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ベテランモデラーの間では「モノグラム神話」と呼ばれるほど、1960年代に日本に輸入されたモノグラムの航空機キットは同時期の国産品に比べて格段にクォリティが高く、その後も驚くほど長い寿命を誇りました。

この「製品としての寿命の長さ」が、極めて面白い現象を生み出すことがあります。

僕がモノグラムの飛行機と出会って夢中になったのは小学4年から5年の頃でした。
当時バンダイが輸入販売していた「バンダイ・モノグラム」版です。
ところが、僕と干支が一回りも違うほどの大先輩の方も、同じく小学4年くらいの頃にモノグラム製品と出会って夢中になった経験があり、歳がこんなに離れているのに、それぞれ同じ年頃に同じ製品に夢中になったということで意気投合して、思い出話に花が咲くことがあるのです。
その大先輩は1960年代、モノグラム製品が日本に初めてお目見えした頃に小学4年生で、お小遣いをせっせと貯めて買い求め、僕はそれから10数年後、まったく同じ品をバンダイが輸入販売してくれたおかげで、彼と同じ小学4年生の頃に同じキットを作って楽しんだわけです。

また当時、日本のマルサンがモノグラム1/48航空機……このドーントレスやアベンジャーを複製して販売、その後ニチモに受け継がれて、これまた長寿キットとなり、本家のモノグラム版に比べて安価なうえに、高荷義之 画伯の手による迫力有るパッケージアートで、当時の少年達に人気を博したようです。


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僕が小学生上学年になった1970年代中盤頃には、既に航空機プラモは総じて精密志向に走り、可動部の無いディスプレイ仕様が多く、またほとんどのキットの箱絵にはその航空機が活躍している勇壮な絵があしらわれていました。
ボックスアートというやつですネ。
そんな中、店頭で見つけたバンダイ・モノグラム製品のパッケージは、ふだん見慣れた国産キットでは見かけないような、シンプルなキットの完成品見本写真レイアウトとなっており、これが何とも不思議というか、新鮮な感じがして、思わず箱を手にとっていました。

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雰囲気からして、これは日本の製品ではなく舶来品なのだなというのはすぐにわかりましたが(舶来品……という言葉自体、すでに懐かしいですネ)箱を開けて内容を見てビックリ!
イラストだけではなくふんだんに写真が使われている組み立て説明図、立体的な表面モールド、前時代的に簡略化されてアッという間に完成しそうなコクピット、そして主脚折りたたみなどのギミック(可動の仕掛け)が満載で、加えてパイロット以外にも整備員などのオマケが豊富に含まれていて、僕としては今までほとんど見たこともないようなキットでした。

……実際の処、1960年代の航空機プラモは可動モデル全盛で、国内外の多くのキットが脚引き込みや実機をなぞらえた主翼折りたたみ機構を持っており、ものによってはモーターライズでプロペラ回転というのがほとんど常識的だったのですが、1965年生まれで多感な少年時代を迎えた頃には既にそんな時代が終わって、精密なディスプレイ型航空機プラモを見慣れていた僕にとって、このクラシカルな内容のキットは今まで見たことのない魅力に溢れていて、まるで宝物を手に入れたような気がしたものでした。

とにかく「各部が可動する」ということが「昆虫の標本のように動かないプラモデルではなく、まさに生きている飛行機を再現した楽しいプラモデル」に思えたのです!


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多彩なアクセサリーに加えて、主脚引き込み、ダイブブレーキ連動開閉、爆弾投下……この小さなキットの機体にこれだけのギミックを仕込むのはかなり無理があるのではないか?……そう思う方もいらっしゃるでしょうが、ここがモノグラムのスゴイところで、どのギミックも確実に作動して、丁寧に扱っていれば完成後に壊れることがありません。


―――― この当時、せっせとお小遣いを貯めてバンダイ・モノグラムとして発売された単発機キットはほとんど作りましたが、そんな中からこのドーントレスを真っ先にご紹介するのにはワケがあります。

このドーントレスは、当時小学生だった僕が生まれて初めて「ジオラマ」らしきものを完全自作で作った、個人的には非常に思い出深い品なのです。
もちろんそれまでにも国産品のジオラマキットを作ったことがありましたが、それはたいてい地形を再現したベース部品や木々を再現するための材料が同梱されたもので、キットを組み立てればジオラマ仕立てに仕上がるというもので、地面……台座から自分で作ったのはこのドーントレスが初めてでした。

ジオラマ……といっても、このキットには機体以外に整備員や爆弾運搬用ドリーなどのオマケが入っていたから、それを綺麗に展示しておきたいという、まァ「飾り台」みたいなものだったのですが(笑)
クッキー菓子の空き箱をニス塗りの木箱のように茶色く塗り、キットの箱から切り抜いた機名をタイトル代わりに貼り付け、そしてその上に空母の飛行甲板に見立ててバルサ材を貼り、ちょっとした飾り付けをしたうえで、完成した機体と付属のアクセサリー、フィギュアを並べて飾ったのでした。
遊びに来た同級生の友達に感心され、羨ましがられたのを覚えています。

そんなことが出来たのも、モノグラムのドーントレスが主脚引き込み可動で飛行状態と駐機状態の両方のフォルムが楽しめ、しかもアクセサリーが豊富に含まれているといった楽しい内容だったためで、その後に作ったモノグラムの飛行機キットにも簡単なジオラマ仕立ての台を作って飾るようにしました。


―――― このジオラマ、もちろん今となっては現存していませんので、記憶を頼りに絵を描いてみました。

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なにせイラストは大の苦手で、稚拙な解りにくい絵になってしまい申し訳ございません。
何のことはないタダの飾り台なのですが、当時の子供としてはこういうものを自分で作れたのが嬉しくて仕方ありませんでした。


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それにしてもこの立体感溢れるモールド……今見ても、溜息が出ます。
ちょっと、オーバーじゃないのかなぁ……と、思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、最近の繊細なモールドを持つ精密キットを塗装するときによく行う「薄吹き」ではなく、大胆に、いわば鉄製の外板にペンキを塗る感覚で塗装してみてください。
このパンチの効いたモールドの描き出す陰影が、まさに実機のように感じられるはずです。

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細かい部品は袋詰めにされ、機体のフォルムが一目でわかる主要部品のみシートに貼り付けられているのがバンダイ・モノグラム版の特徴でした。

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このシートから部品をそっと取り外すと、バンダイ・モノグラムのシリーズとして発売されている様々な機体の塗装カラーガイドが姿を現します。
“FLIGHT PATROL”というキャッチコピーともども、この細密カラー図は購買意欲をそそりました。

バンダイ版独自のサービスとしては、このカラーシートに加えて航空隊の部隊マークを再現したけっこう大判のステッカーまでオマケに入っていたりもしましたから、当時の飛行機好きの子供は大喜びでカバンや自転車に貼ったものです。

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後になって、アメリカ建国200年記念のお祝いムードに乗って海戦映画「ミッドウェイ」が公開されており、この作品とタイアップしたリーフレットもオマケに入っていた時期もありました。
子供は、こういうオマケに弱いんです。



……さて、10年ほど前に気紛れに作った完成品がまだ手許に残っていたので写真を撮り直してみました。
稚拙な仕上がりですがご笑覧ください。
昔作ったジオラマへの個人的オマージュみたいな構図にしてみました。

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フォルムはキットそのまま。
コクピットや後部銃座には他のキットから持ってきた部品でちょっとだけお化粧直しをしてみました。
ダイブブレーキは丁度良い径のピンパイス・ドリルがあったのでこまめに開口してみました。
主脚引き込み、ダイブブレーキ連動開閉、爆弾投下などのギミックは全て生かしてあり、手許に残っていたミニベビーモーターを仕込んでモーターライズでプロペラが回るようにしてみました。
いろいろ遊べて本当に楽しいキットです。

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―――― また、繰り返し述べてきたように初期モノグラムのキットの醍醐味は豊富なギミックです。

それを最大限に生かせば、こんな写真を撮って遊ぶこともできます。



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……種を明かせば、このとおり!(笑)



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何も難しいことをせずとも、キットの素性を生かしてチョット工夫するだけで、こんな遊び方ができるんです。
ちなみに撮影に使ったのもオリンパスの一般的なコンパクトデジタルカメラ。
照明は天井の蛍光灯だけです。

ねっ、楽しいでしょ!(^^)



―――― 正統派航空機モデラーの方がご覧になれば笑ってしまいそうな完成品まで恥ずかしげもなく掲載してしまいましたが、今でも僕は一連の「オール可動型 古典的モノグラム航空機キット」をこよなく愛しています。
これからも手許にある懐かしいモノグラムの航空機キットを出来るだけ多く紹介していきたいと思っています。


……今回は強く思い出に残るキットのご紹介だったので、いつになく饒舌になってしまいました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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